第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
そして今日は金曜日なのでちょうど明日から2連休になる。勿論部活は休みだ。2年生のみだけど。
家で疲れた身体を癒やしベッドでゴロゴロしながらケータイをいじっているとお兄ちゃんからメールが来た。
内容は明日から3連休になるから今日の夜帰ってくるというものだ。去年も陽泉の創立記念日かなんかでWC予選前に帰ってきてたのを思い出す。
私は瞬く間に返信してお兄ちゃんの帰りを待つ。
ーー夜になり食事の最中で鍵を開ける音がすると、お兄ちゃんが帰ってきたと思ってすぐに玄関に向かう。
「ただいま、夏美。ちょっと焼けた?」
お兄ちゃんは何時ものように必殺の微笑みをかます。でも何でだろ?いつもはやられてたのに何だか今日は特に思わなかった。まぁ、様になってるのは相変わらずだけど。
「おかえりー、お兄ちゃん!そだね、シンガポールから今日帰ってきたとこなの!」
「修学旅行か?」
「うん!お土産もちゃんと買ってきたから後で渡すね。今ちょうどご飯だから、荷物片して一緒食べよ!」
「…ああ、そうだな。」
お兄ちゃんは何故か寂しそうな顔をしたので、顔を覗き込む。
「どうしたの?元気ないね?」
「ああ、気にしないでくれ。なんでもないよ。」
またお兄ちゃんに誤魔化された気がするけど、喧嘩したくないからそっとしておくことにした。
お兄ちゃんが荷物を部屋に片してからテーブルに座る。久しぶりに家族全員で食事ができ、私はとても嬉しくて思わず顔が綻ぶ。
それぞれのタイミングで食事を済ませ、私はお風呂に入り部屋に戻るとベッドでゴロゴロする。
どうしよう、お兄ちゃんに言うべきかな…。高尾君の事。
悩んでるうちにドアをノックする音が聞こえパッと起き上がる。
「夏美、入ってもいいかい?」
「お兄ちゃん!いーよ。」
お兄ちゃんのタイミングの良さにある意味感心しながら私は招き入れた。
にしても、お兄ちゃんから入ってくるなんて珍しいなぁ。