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Field Of View〜君を捕まえたい〜

第3章 エース様に万歳!


夏美がマネージャーを始めてから秀徳バスケ部の雰囲気が変わった。男子部長の大坪泰介や監督の中谷仁亮が言うに彼女のいるいないで、部員のやる気が俄然違うので少々困っていた。


特に練習試合や大会の前には夏美を男子の方へいてもらうように彼女に頼んだ。
その理由がなぜか夏美にはわからなかった。
このような特別扱いは慣れていそうな彼女だが、実はアメリカに居た頃はそんなことは今までなかったのである。
むしろ日本人であるがゆえ、差別されることが多かったのだ。


一方女子部員とマネージャーでの彼女の評価は決して良くはなかった。

容姿、帰国子女、男子からの特別扱いぶりのおかげで嫉妬したりいびったりして、大量の仕事を言いつけることが多かったが夏美はそれでも嫌な顔せずに仕事を引き受けた。

また彼女の素直な人柄に女子部員達は徐々に彼女を認めるも、それでも彼女の事を気に食わないと思う者は少なからずいた。


ーそうして月日は流れ、ウィンターカップ予選の日が近くなってきたある日のことである。

長かった練習がようやく終わり、片付けをし、制服に着替えて夏美は帰宅しようとした。
(ふー。やっと終わった〜。早くお家のご飯食べた〜いって今日誰もいないんだった…)

しかし両親が旅行に行ってたのを思い出し、がっくりきてしまった。

(今日作る気分になれないわ〜。どっかで食べてくか…)
部活が終わって気分がるんるんだった夏美の足が、一気に重くなっていた。
だが、体育館の灯りがまだついており、ドリブルする音が聞こえたので、夏美は窓から体育館をそっと覗いた。


(あれは……高尾君と真ちゃんだ!)


夏美は小走りで体育館に入っていく。
因みに夏美が緑間の事を高尾と同じ様に“真ちゃん”と呼ぶ様になったのは、普段チャリアカーコンビと席が近く休み時間は3人で喋っている事が多いからだ。


最初夏美にそう呼ばれて緑間は声を荒げて止めるよう言ったものの、彼女は恥ずかしがってオーバーな反応をする彼が面白くて堪らなかったのでずっと呼び続けていた。

それで最近緑間は諦めがついたのか夏美に対して何も言わなくなったのだ。
以来夏美は緑間の事を気に入りチャリアカーコンビと次第に親しくなっていた。


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