第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
ーSide 夏美ー
私達6人は和気藹々と談笑しながらホテルへ戻り、それぞれの部屋へと解散する。
夕飯まで少し時間があるので、汗を拭いてからベッドに寝っ転がると2人もダイブして、天井を見上げながら喋り始める。
「ふー、めっちゃ楽しかったねー!」
「ほんと!うちの班最高すぎるでしょ!」
「ね〜!明日で終わっちゃうの寂しいよー!」
「…グループ決めで頑張った甲斐があったな。」
私が呟くと愛ちゃんと優ちゃんは私にニヤニヤしながら顔を向けて、先程の事を迫られる。
「さっきいい雰囲気だったけど、何話してたの〜?」
「もう逃げらんないからね!」
高尾君みたいに上手く誤魔化せない私はすぐ2人に根負けして、赤面しながら話す。
「もう、2人には敵わないよ…。さっきね、夜の9時半に展望台に来てくれって言われたの…。」
2人はものすごく興奮し始めて更に饒舌になる。
「やったじゃん、夏美!今度こそ告られんでしょ!?」
「しかも9時半ってちょうどマリーナベイサンズのライトアップショー始まるじゃん!高尾君ってばロマンチストー!マジ羨ましい!!」
そっか、そうだった!元々気が利く人だとは思ってたけど、高尾君、そこまで考えてくれたの?
2人に言われて私は思わず舞い上がっていると優ちゃんが唐突に言ってきた。
「返事はもう決まってんでしょ?」
「うん!もちろん!」
私がニッコリと返事すると、優ちゃんも愛ちゃんも優しく微笑む。
きっと、高尾君となら大丈夫。やっと昔の自分を乗り越えられる気がするし、お兄ちゃん以外の人をこんなに思ったのは初めてだから…。早く9時半になってほしい…。
ちょうど夕食の時間になり、2人やクラスの女子と談笑しながら楽しく時間を過ごす。食事を済ませて部屋に戻ると待ち合わせの為一番風呂に入らせてもらい、準備を済ませる。
10分前になって2人に見送られ部屋のドアを開けると、ちょうど気まずい人に出くわしてしまう。