第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
翌朝、夏美は浮かない顔をしながら自転車を漕いでいた。
(はあ、2人に押されていちごパンツ履いてきちゃったよ…。やだなあ、真ちゃん今日学校休んでくれないかなあ。絶対顔を合わせたくない!)
だが願いは虚しくあのチャリアカーコンビに遭遇してしまう。
「夏美ちゃん、おはよっす!」
「高尾君!おはよ。今日もリアカー引いてるんだね!」
高尾が明るく挨拶してくれたのは嬉しかった夏美だが、リアカーに乗ってる緑間が気になり、様子を確認する。
緑間も夏美と目が合い軽く挨拶をするが、いつもと変わらず涼しい顔をしていた。
(本当に、いちごトランクス履いてんのかなあ?真ちゃん顔に出さないタイプだもんな~。)
高尾は自分から緑間に目線を移す夏美を不思議に思ったが挨拶をするためだろうと思い、特に気止めなかった。
「そ。でも最近真ちゃんの癖わかってきて勝率上がってんだぞ。」
「ふん。それでも俺が圧勝だがな。」
「はいはい。次は夏美ちゃんの前でお前にリアカー引かせっかんな!」
高尾が指をさして宣言するも緑間は相変わらず鼻で笑う。仕方なく三人で一緒に行くことになってしまい、夏美は内心ハラハラだった。
(あー、早く一日が終わって欲しい…。)
そして高尾が夏美にとってついに地雷の質問をしてしまう。
「真ちゃん、今日ラッキーアイテム持ってねえじゃん。やばいんじゃね?」
緑間は難しい顔をして答えた。
「…いや、持っているぞ。」
「おいおい、いつも自慢すんのに今日はやけに控えめじゃん。」
(嘘でしょ!?本当に履いてきたの!?や、やばい、恥ずかしすぎる!!)
赤面した夏美はいてもたってもいられなくなり、ここは一目散に先に行くことにした。
「ごめんね、二人共!私ちょっと先に行くね!」
「え、ちょっと、夏美ちゃん!」
高尾の呼び止めも虚しく先に行く夏美を見て、高尾は肩を落とす。
(夏美ちゃん、やっぱ俺と顔合わせたくないのかなあ。ショック…。)