第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
先に静寂を破ったのは愛ちゃんで彼女は神妙な面持ちで言った。
「…ねえ、二人共。てことはさ、緑間君は明日いちごパンツを履いてくるってことだよね…?」
私も表情をなるべく崩さずに冷静に言う。
「…うん。真ちゃんはいついかなる時もラッキーアイテムを持ち歩いてるおは朝信者だから。」
「…緑間君のいちごパンツ姿。いや、いちごのトランクス姿か…。」
いや、なんでそこ言い直したの!?
心で突っ込むけど、口元に丸めた手を添えて冷静に言い放つ優ちゃんの言葉が引き金となって、私たちはついに女の子らしからぬ大笑いをかます。
私は、いや二人も真ちゃんのいちごトランクス姿を想像してお腹をかかえて大爆笑している。けど笑いすぎて声がもう霞んでいた。全く自分の想像力を呪ってしまう。
しばらくしてやっと落ち着くと今度は愛ちゃんがとんでもないことを言い出す。
「夏美、最下位なんだから明日いちごパンツ履いてきなよ!!」
「え、何言ってんの!?真ちゃんとお揃いにさせる気!?ぜっっったいにイヤ!」
私は赤面して声を荒らげそっぽを向くと、優ちゃんもノリノリになりニヤニヤしながら催促する。
「やだなー。あたしらはあんたのために言ってんのよ。だって履いてこなかったら真理子に邪魔されて高尾君と一緒になれないかもよー?」
「た、たかが占いでしょ!?」
「「ずべこべ言わず履け!」」
2人は反抗する私を黙らせるため、睨みをきかせて声を張る。
絶対面白がってるよ、この二人!嫌だなあ、真ちゃんとお揃いなんて…。恥ずかしすぎる!!てか真ちゃんの顔まともに見れなそう…。
「てか、私いちごパンツなんか持ってないし履かないからね!」
ここで私は言ってしまったことを後悔するけど時すでに遅し。2人は目を光らせて私の腕を引っ張る。
「ふふーん。じゃあ、買いに行こっか!」
「レッツラゴー!!」
「イヤだあああああ!」
私の渾身の叫びも虚しく近くのデパートの下着屋へ強制連行され、明日履くことを余儀なくされてしまった。