第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
いつの間のか涙を零す私を見て2人は何故か赤面しており、少し声を荒らげて言った。
「全く、泣くほどのことじゃないでしょ…!?」
「なんかウチラが泣かしたみたいじゃん!」
一旦涙を拭いて2人に向き合う。
「…だって2人が私のためにここまで応援してくれるのが嬉しくて、つい。…2人に会えて本当に良かったなあって。」
なんか日本語で言うと小っ恥ずかしくてたまらないから、指先同士をチョンチョンとつけて目を俯く。
言い終わって顔を上げると、2人は更に顔どころか耳まで赤くなっていた。
「…そ、そういうのはウチラじゃなくて高尾君に言いなよ。こ、こっちまで恥ずかしいじゃない。」
優ちゃんはそっぽを向くけど、愛ちゃんは向かいに座る私に抱きついてきた。勿論突然のことに私は驚く。
「んもー!!夏美てば、超可愛いーん!これで高尾君も更にメロメロだよ!」
メロメロの意味はイマイチわからなかったけど、会話の流れからなんとなく察したので突っ込むのはやめた。それよりも三人でいるのがこんなに楽しくて心地よくてたまらなくて、私は愛ちゃんの胸元で微笑んでいた。
愛ちゃんが私を離して席に座ると優ちゃんが話を切り出す。
「明日のロングホームルームでさ、修学旅行の班決めするって言ってたよね?」
私が肯定の返事を返すと愛ちゃんが天真爛漫にいう。
「そうだよ、夏美!高尾君と一緒の班になって急接近しなきゃ!」
「そそ!あんたから行ったほうが絶対高尾君も自信がつくし!夏美、あたしたちも一緒になるから、頑張ろ?」
優ちゃんが私の両肩を掴んで励ますと、私は目を瞑って考える。
恥ずかしいけど、もう進むって誓ったんだ。2人と大我、真ちゃんまでにも背中を押されたんだもん。ここで勇気出さなきゃ!
私は決心がついて2人に真剣な眼差しを向けなおす。
「うん!私から声かけてみるよ!」
そう言うと二人共微笑んで私の両手を握ってくれた。
「よし!その粋だよ!ウチラでできることならなんでもする!!」