第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
「夏美。人伝でも好きな人から話あるって聞いたらさ、舞い上がっちゃうよね。多分あたしも同じ立場だったら行ってたかも。」
愛ちゃんは柔和な表情で私に優しく語りかけ、また目が潤う。
「全く、アメリカ育ちのくせに全然すれてないよね!ま、そこが夏美のいいとこで好きなんだけどさ。」
「…2人とも。」
優ちゃんは呆れ気味に言った後は微笑んで愛ちゃんと同じように優しく語りかける。
2人の優しさに目頭が熱くなり感動していると優ちゃんが顔を覗き込んで尋ねる。
「真理子から何か言われてない?」
「…うん。今日は一言も喋ってないし。」
「じゃあ多分真理子と高尾君寄りを戻してないと思う。もしそうだったらあいつ、夏美にすぐ言うはずだし。」
「…ほんとに?優ちゃん。」
鋭い優ちゃんがそこまで言うなら余計信じたくなる。私は目を見開いて思わず確認した。
「優、さっすがー!てか高尾君もヨリ戻してたらさっきみたいに夏美の手握らないよね、きっと。」
「うん!喋り方と声はチャラいけど中身はしっかりしてていい人だしね!」
2人の言葉が心強くて優しくて心が暖かくなり、私は満面の笑みでお礼を言う。
「ありがとう、2人とも。おかげですっきりし」「「まだ早ーい!」」
また声を揃えた2人に私は「えっ」と驚いていると優ちゃんがまず私の手を握って真剣な眼差しを向ける。
「…夏美、いっぱい高尾君から愛情貰ったんだからあんたも好きなら自分からもっと行動しなきゃダメだよ。」
優ちゃんの手厳しいけど暖かみのある言葉が耳と心に響く。
そして愛ちゃんも続けて私の手を握る。
「そうそう!もし真理子がまた何かしてきても、高尾君と自分を信じるんだよ!!ファイト、夏美!」
2人が私の為にここまで言ってくれるのが堪らなく嬉しくて涙を浮かべながら、顔が綻んだ。
「…ありがとう、2人に相談して、本当によかった…。」