第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
ーSide 高尾ー
夏美ちゃん達の姿が見えなくなるのを確認したら、俺は真ちゃんと一緒にシュート練習に励む。
バンッ!
「くそっ!」
俺はレイアップを放つも勢いよくボールがゴールのボードを弾いて外した。その後もうち続けるけど、いつもは8割入るのに今日は5割も外しちまった。
ダメだ…。雑念が入っちまってる。夏美ちゃん、絶対に真理子との事疑ってるよな…。
俺は唇を噛んで力いっぱい眉間にしわを寄せる。
さすがの真ちゃんも見兼ねたのか珍しく奴から口を開いてきた。
「今日のお前、いつも以上にダメなのだよ。」
「うっせ!わーってるよ、そんなのは!」
真ちゃんの憎まれ口には懲り懲りするほど慣れてるけど、今は流せる余裕はなくてつい口調が荒くなる。
真ちゃんもさすがにイラついたのか眉間にしわを寄せ、冷静に話してるにも関わらず凶悪なオーラが漂っていた。
「俺にあんなに恥をかかせておきながら、氷室とは仲直りできなかったのか?」
そういえば、夏美ちゃんにデュエット振られたのに俺が横取りして夏美ちゃんもすぐOKしたから、真ちゃんだいぶ笑われてたもんな。
「…それは悪かったよ。けど、事情が色々あってよ。」
俺は真ちゃんと目を合わせずに言うと、真ちゃんはそのまま冷静に言い放つ。
「…ふん。柳とも何かあって、それで拗れているのだろう?」
てか、普段人に興味ないくせに何でこういう時は鋭いんだよ。
図星だったけど認めたくなくて、つい俺は真ちゃんを茶化し誤魔化そうとした。
「ブフォ!真ちゃん、意外と探偵向いてんじゃね!?事務所立てちゃえよ!」
「高尾!!ふざけるのもいい加減にしろ!だから、お前はダメなのだよ!」
真ちゃんはあの去年のWCの決勝戦の激励の時みたいな大声、てか今は怒声を俺にぶつける。
普段そんなに怒ったりしねーけど、俺も一緒に感情が高ぶって口調が更に荒くなった。
「てめーに何がわかるってんだよ!!俺とお前、そもそもプライベートで口を出す仲じゃねーだろ!?」