第2章 二度ある事は三度ある
実は夏美自身も高尾という言葉を聞いてびっくりしていた。
(まさか、高尾君とクラス一緒なの?)
担任に指定された席を探していると丁度高尾と目が合い、彼は「よぉ」と言って片手を挙げた。
(あ、本当に高尾君だ!しかも前に緑間君もいる!知ってる人が一緒で嬉しいな)
相手が丁度顔見知りなので安心し、夏美は自然と笑顔を浮かべて片手を振り返した。
(や、やられた……)
高尾は彼女を見てまた顔が赤くなったので、誤魔化すために咳き込んだ。
(ふん、滑稽だな)
緑間は眼鏡を直して、咳き込んだ彼に呆れた。
夏美が自分の席に座ると、高尾はすぐ小声で話し掛ける。
「なあなあ、氷室さん。俺もバスケ好きなんだ」
「本当?もう授業だし、また後で話そ!」
「おう!」
高尾はいつも以上に昼休みを楽しみにしながら、授業をほとんど寝ずに聞いた。
昼休みになり、夏美は自分の席を離れて複数の女子とお弁当を食べていた。なので今高尾が入る隙はなかった。
「ねえねえ、アメリカのどこに住んでたの?彼氏はいる?」
「 Los Angelesに住んでたの。彼氏はいないよ」
「発音すごーい!!いいなあ、海外移住憧れるー!」
「ってウソっ!?夏美ちゃん、そんなに可愛いてか綺麗なのに勿体無いよ!!」
「え、そうかな」
などと、ミーハーな会話が炸裂していた。
それを聞いたちょうどそばにいた男子達が、
「マジかよ?!氷室さん、彼氏いないってよ?!」
と、小声でざわめきだしたのを高尾は聞き逃さなかった。
「えーなになに?!俺も混ぜろよ」
高尾は言い出しっぺの男子の肩を組んで、いたずらに言う。
「高尾もう抜け駆けしてるからダメー!」
「何だよ、つれねーな。それに抜け駆けとかあんま関係ねーと思うけど」
(かと言って優越感感じちゃってる俺ってね!にしてもあんなに可愛いのに彼氏いないとか!アメリカの男、目がねーんじゃね?!)
余裕をこいてる高尾は周りの男子からの制裁をくらって、遠目に見てた緑間はまた彼に呆れた。
お弁当を食べ終えた夏美はトイレに行くと言って席を立つ。
高尾はそれを逃さず夏美と同じ行動を取った。