第8章 お前ら、人事を尽くすのだよ!
ーSide 夏美ー
土曜日が文化祭で月曜日が代休になっていたものの、当然バスケ部は活動していた。
今日は半面ずつで女子1軍と男子1軍が練習していたので、休憩中は優ちゃんと愛ちゃんとお喋りしていた。
だけど、必然的に高尾君と真理子ちゃんと真ちゃんが喋っている様子も目についてしまう。
3人の様子を目で追っている私を見兼ねたのか優ちゃんが肩に手をぽんと叩く。
「なーに、恨めしそうに見てんのよ!緑間君言ってたじゃない、遠慮なく入って来いって!」
背中を押してくれる優ちゃんだけど、やっぱりあれを見たから3人の元へ行くにも気が引けていた。次に進むとは言ったものの、何をすればいいかわからない。
もう、こうなったら2人に相談しよう!
「優ちゃん、愛ちゃん今日練習終わったら、ミスドーナツ寄ってかない?」
そして2人は嬉しそうに私の誘いに応じてくれた。
「うん、いーよ!あー早く練習終わって欲しい!」
と愛ちゃんは背伸びしながら笑顔で言う。
「てか、カラオケで何があったか聞こうと思ってたんだよねー。」
優ちゃんは好奇心旺盛な目をしながら言った。
「うん、勿論話すよ!2人に相談に乗って欲しくて…。」
2人に自分から相談を持ち掛けるのが初めてだったから、なんだか小っ恥ずかしい。私は両手の人差し指の先をちょんちょんとつけながら、目を俯かせる。
「マジ!?あんたからそう言ってくれるの珍しいじゃん!」
「もちだよ〜!何時間でも聞いちゃう!」
私は顔を上げて2人を見ると、2人共眩しいくらいの笑顔で、私の肩を両サイドから組んできた。思わず私も彼女達の優しさに顔が綻ぶ。
…久しぶりの感覚だな、同年代の女の子とこうして笑いあったりするのは。しかもこんなに心地よくて楽しいのは初めてかも。
いつの間にかにやけていた私に優ちゃんは突っ込みを入れてくるけど、さすがにこの場で本心を言うのは恥ずかしいので私は適当に誤魔化して練習を再開する。