第7章 Turning point

「何と無く察しはついたよ。高尾となんかあったんだな？」

大我は後ろを振り向いて2人が去ったのを確認し、私の両肩を掴んで顔を覗き込む。
その視線はまるで逃がさないと言ってるような鋭いものだった。


告白の時の目と同じ…。目を逸らせない…。


私はコクリと頷くと大我はそのまま私を鋭い眼差しで見つめる。

「…俺、あん時告ってお前の事、吹っ切れたと思ったけど、WCで顔直接見たら気持ちが蘇ってやっぱり忘れらんなかった」


私は涙目になりながら大我を見つめると大我はもう一回私を抱き締める。大我の逞しい身体つき、お兄ちゃんと高尾君とは違う匂いが私の嗅覚を刺激し、胸が高まる。


「好きだぜ、夏美…」


割れ物を扱うように繊細で震える声で告白する大我。
もう、抵抗する気もおきない…。このまま、大我に身を任せても、いいかな。


何も言わずすすり泣く私に大我は抱きしめたまま不思議そうに言う。

「…おい、いつもは抵抗すんじゃねーか。」

「もう、どうでもいいの…。」

私の言葉を聞いて大我は耳打ちをして囁く。

「…ふーん。じゃあ何してもいいんだな？」

投げやりになった私に大我はキスをしようと迫ってきた。そこで私はハッとする。

ダメ、やっぱり大我とはできない。私、一体、何をやってるんだろう。


「いや！！やめて！！」

顔を背けて手で大我の顔を抑えてやっと抵抗をすると、大我はすぐに離れてくれて、切なそうな悲しそうななんとも言えない声色で言う。


「…お前さ、無防備すぎんだよ。しかも期待させすぎ。」

大我の声は震えていた。私は彼をこんなに困らせるまで本当の自分の気持ちがわかるなんて最低だ。私は泣きながら謝る。

「ご、ごめんなさい。大我…。私…。」

「…泣きてーのはこっちだよ。」


大我はもう泣きそうになっていたから私に背を向ける。先程より震える声で私の背中を押すように言い聞かせた。


「いいから、早く行けよ…。高尾の事、まだ好きなんだろ？」


「…うん。本当に、本当に、ごめんね。」


私は立ち上がり、大我に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら走って帰っていく。


…でもありがとう、もう私、迷わない。もうやっぱり大我とは昔のように遊べないかもしれない。辛いけど、寂しいけど、次に進まないと、また大我の事傷付けて自分が嫌いになる。