第7章 Turning point
大我の言葉に私は思わず耳を傾け、抵抗する力が弱くなり、大我へ正面を向ける。
「大我…。」
「….ここで話すのもなんだし、あそこにストバスのコートあるからそっち行こうぜ。」
ちょうどそこは私の帰り道にあるし、大我に手を引かれるままついて行く。少し歩いて辿り着くと、大我は私を放してもう片手で持っていたボールを私に渡す。
いきなりボールを渡された私は顔をキョトンとさせて大我に尋ねる。
「…1on1するの?私じゃ相手にならなくない?」
その時大我はちょうどライトの下にいたから、大我の呆れたような顔がよく見えた。
「ちげーよ、ばーか。んなことよく知ってるし。」
私は顔をムッとさせて黙って怒りを伝える。
「んな顔すんなって。…お前、昔、ダンクしてみたいって言ってただろ?」
「え、覚えててくれたの?」
「ああ、ずっと覚えてたぜ…。」
もしかして大我、私を慰めようとしてるの?ふふ、大我は優しいよね…。相変わらず不器用だけど。
私は何年も前に言ったことを大我が覚えてくれてたことに目を見開いて驚くも静かに微笑む。そんな私を他所に大我はゴール近くへ手招きし、私の後ろに大我が立つ。
「…わりいな。ちょっと腰持つぞ。」
「…うん、パンツ見ないでね。」
「うっせえ、言われなくても見ねーよ!」
そう言って大我は私の腰を両手で掴んでヒョイっと軽々しく持ち上げる。あまりの視界の高さと爽快さに私は口を全開にして感動する。
「す、すっごーい!こんなに高いんだね!」
「い、いーから、早く決めて…!さすがにきちぃ…。」
「あ、ごめん…。えーいっ!!」
そして私は勢いよくボールを叩きつけてダンクを決めると大我は素早く私を下ろした。流石に両手だけで支えるのはかなり力がいるだろう。そして私は大我の顔を見上げて覗き込む。
「大丈夫?重かったでしょ?」
そんな私に大我はぶっきらぼうに言う。
「いいって、気にすんなよ。それにスカッとしただろ?」