第7章 Turning point
「…ありがとう、2人とも。でも、ごめん。もう門限だから、また今度話すよ…。」
「え、夏美?今日、最後までいるって言ったじゃない!?」
優ちゃんが鬼気迫るように尋ねるけど、私は目を俯いたまま言った。
「…ママがやっぱり駄目だって。言うの忘れてごめんね。」
2人は私の名前を呼びながら肩組を解き、私は立ち上がって自分の隣にあった荷物を取り出す。そして幹事をやってくれた子に一言言ってその場を去って行く。
もう私が店を出た時にはもう2人の姿はなくて、それが一層私を悲しみと涙の渦に巻き込む。そして、右腕で目を押さえながら私は歩き出す。それでも涙は流れ続ける。
高尾君、真理子ちゃんと一緒にいたのにどうしてあの時私を呼び出したの…?仲直りしたかったって、嘘だったの…?
早く家に帰りたくて足早になり、また涙を拭きながら歩いているので人とちょくちょくぶつかっていた。しまいには誰かの胸元にぶつかってしまう。当然、私はハッとして謝る。
「あ、ごめんなさい!…って、大我じゃない!?どうしてこんな所に!?」
当然私も大我もびっくりして目を見開いてる。
「夏美じゃねーか!俺は練習試合の帰りだけど、お前こそ何でここいんの!?」
一瞬何でかと思ったけど、そういえば今日が土曜日なのを思い出し、すぐ納得した。
「私はちょうど文化祭の打ち上げの帰りで…。」
「ふーん。てか、何で泣いてんの?」
去年のWCはお兄ちゃんと仲直りしてほしくて手を引っ張ったけど、それ以外で正直大我とは告白の時からどう接していいのかわからなくて、早く家に帰りたくて私は誤魔化し笑いをする。
「はは、目にゴミが入っちゃってさ!じゃあね!」
即座に去ろうとすると大我は私の腕を掴んで引き止めた。
「…誤魔化すなよ。何があったんだよ?」
「放してよ!ほっといて!」
私は前進しようとして体いっぱい抵抗すると、大我はさらに力を強めて切なさの混じる声で言う。
「…す、好きな女が泣いてんのにほっとくわけ、できねーだろ…!」