第7章 Turning point
ーSide 夏美ー
私は高尾君と真理子ちゃんのキスを目撃して、頭が真っ白になって、自分の感情と気持ちが混乱して抑えられなくて、高尾君に捨て台詞を吐くしかなくてあの場から去った。
私は誰にも泣き顔を見せたくなくて、もう一回トイレに戻って泣いていたけど、全然涙が止まらなくて、胸が苦しくて、暫く篭っていた。
去年告白してくれた時に怖がらずにOKして、お兄ちゃんの事心配し過ぎなかったら、こんなに苦しくなかったのかな…?もっと、幸せだったのかな…?
あり得た未来を想像したって仕方がないのに、私は現実から目を背けたくてつい思いを張り巡らせる。
ここにいつまでもいたら誰か来るかもしんないし、最後までいたかったけど、もう帰りたい…。ベッドでもっと思いっきり泣きたい…。
私は顔をタオルでゴシゴシと拭いてパーティルームへ戻る。早速荷物を取ろうと自分のいた席へ戻ると優ちゃんと愛ちゃんは真っ先に心配してくれた。
「夏美、トイレ長すぎでしょ!どこ行ってたの!?」
「そうだよー。心配したんだからー。」
心配してくれるのは本当に嬉しかったけど、今事情を説明したら折角拭いた涙がまた出そうだから、頑張って作り笑いをして誤魔化す。
「…うん、途中でお腹痛くなっちゃったからさ、ずっとトイレに篭ってた!」
「なーんだ、そっか!…って言うとでも思った?」
優ちゃんは肩を叩いて軽く言ったかと思ったら、いきなり鋭い目で私に詰め寄る。なんでそこまで鋭いのかと逆に感心してしまう。
「夏美が嘘つく時ね、口は笑ってるけど目が笑ってないんだよねー。」
愛ちゃんが追い打ちをかけ、私はどんどん表情が曇っていく。そして、優ちゃんと愛ちゃんが肩を組んで私に切なそうな顔で言った。
「…夏美、あたしらが声かけるまで何も言わないじゃん?もっと頼っていいんだよ?」
「…そうだよー。一年以上も一緒にいて水臭いじゃん!」
だめ、2人とも、今そんなに優しくされたら、あたし…!
私は握り拳を作って震えさせ、目を俯く。