第7章 Turning point
ちくしょう…!折角仲直りしたと思ったら、これかよ…!
俺は両手で握り拳をつくり、力を込めて震えさせていた。この悔しくて居た堪れない気持ちを俺は真理子にぶつけてしまう。
「…真理子、てめー、最初からこれを狙ってただろ!?」
俺に睨まれ、怒声を浴びせられても真理子は全く表情を崩さない。それどころかほくそ笑んでいる。
「あの子って馬鹿よね。普通大事な話あるってんなら直接言われんのに。」
俺も流石に堪忍袋のおが切れそうになり、真理子に詰め寄る。
「真理子、いくらなんでも度が過ぎるぞ。昔のお前はそんなじゃなかった。いったいどうしちまったんだよ!?」
俺が目を鋭くさせて睨むと、暫く静寂が訪れる。すると真理子は俯いて涙をポロポロと零す。
「…あたしだって、夏美があの時和成のことちゃんと振るか、付き合うか、ハッキリ答えていればこんな事しなかった…。あんたの事をキープしてるのが、許せなかった。」
「…真理子、お前。」
真理子の言葉に俺は良心が揺らぎ、睨みを少し緩ませた。
「あたしは、和成に好きになって欲しくて、いっぱい努力したのに、1番そばにいたのはあたしなのに…。それなのにぽっと出てきたあの子に、すんなり取られたのが、悔しくて、虚しくて、堪らなかった…。」
あまり感情表現をしない真理子が、ここまで泣いて訴えるなんて初めてだった。付き合ってた時は真理子から我儘やお願いをあんまり言われたことがなかったし。
いや、それは真理子が何でもやってくれるのをいい事に俺は我儘や欲求を満たしてばかりで、真理子の事を気にしなさすぎた所為だろうな…。
俺は最後の全中で惨敗したことをきっかけに、真理子を構ってる余裕がなくて振った。引退後も自主練に打ち込んだ俺をあいつは気にしてくれた。
受験やスランプ、入学した当初真ちゃんを受け入れられずで苦しでいた時期に俺は真理子の優しさに漬け込んで、別れたにも関わらず何回か関係をもっちまった…。