第7章 Turning point
「…変な事言ってもいい?高尾君と仲直り、したいです!」
目線を下にして、力いっぱい目を閉じている夏美に高尾は可笑しくも愛おしく思って、同じようにセリフに合わせた。
「…もっと変な事言っていい?あったりめーだろ!」
高尾の言葉に安心した夏美は声を震えさせて、高尾を見上げる。
「…今までごめんね!もうお兄ちゃんなら大丈夫だから、だから。」
「…もーいいって。俺もあん時は悪かった。だからこれでチャラにしよーぜ!」
高尾の有りっ丈の笑顔と優しさに夏美は涙と笑顔が溢れんばかりになる。そんな彼女の頭を高尾はくしゃっと撫でる。
(…全く、夏美ちゃんは。俺から言うつもりだったのに取られちまったな。ま、可愛かったからいいや!それに、真理子の事なんとかしないとな。)
曲が終わると夏美はトイレに行くと言って、パーティルームを後にした。
高尾が自分の席に戻ると、真理子がなぜか不敵に微笑んでいたのを、高尾は不思議に思った。
「夏美と仲直りできたみたいね。でも、あたしとの約束も忘れないでね?」
手を添えて口角を上げる真理子を高尾は警戒する。
「…ああ、わかってるぜ。もう、お前とは決着着けたいし。」
「ところであの子、トイレ行ったの?」
「ああ。」
真理子は一息置いて、また高尾に体を密着させて耳打ちをした。
「…じゃあ、そろそろ外出ない?決着つけよ。」
「…ああ、そうだな。…真ちゃん、ちょっと席外すわ。」
緑間は何時ものように素っ気なく返事した。ここで真理子は携帯を取り出して誰かにメールを送っていたが、高尾は特に気に留めることなく、2人でパーティルームを出て店の外を出た。
(ふふ、これで準備はOK。和成、あたしの事そんなに甘くみないでね。)