第7章 Turning point
そして緑間含め夏美達はパーティルームに戻る。愛と優の提案により、今度は夏美は緑間と隣同士で座り、デュエットをすることになる。
これは高尾が痺れを切らすまで夏美が緑間とずっとデュエットしまくる作戦なのだ。直接誘うには真理子がいて分が悪いからと愛と優は考えたからだ。
これで席は真理子、高尾、夏美、緑間という順番になった。
そして真理子は夏美が座ろうとしたところで見せつけるようにさらに体を高尾に密着させた。その光景に耐えられず、夏美は目を逸らす。
(…ヤバい!見ちゃダメだ…!)
夏美は感情を隠すように隣の緑間に嬉々としてデュエットに誘う。
「真ちゃん!何歌う?…ってあたし、日本の歌あまり知らないんだった。」
「全く、しょうがないのだよ。…ほら、デズニーとかあるだろ。」
(…真ちゃんってデズニー好きなの!?って妹いるからか!)
緑間の口からそんな乙女な事を言われて、夏美は内心驚くも、ナイスなアイディアなので両手をパンと叩く。
「真ちゃん、冴えてるー!じゃあ、アニと雪の女王の、扉開けようにしない?」
緑間は「ふん」と同意したので、夏美は早速曲を入れた。
高尾は目線だけちょくちょく変えながら隣の夏美を気にする。
(にゃにぃー!?それって大分ラブラブなヤツじゃなかったっけ!?真ちゃん、許すまじ!!…もう、周りのヤツなんか気にしてらんね。)
楽しそうにしてる彼等を見てられず、高尾は心に任せて夏美の肩を掴む。
「…高尾君?どうしたの?」
夏美は赤面しながら尋ねると、高尾は目を鋭くさせながら彼女を見つめ低くて真面目な声と口調で誘う。
「…真ちゃんとじゃなくて、俺と歌ってくれない?」
夏美は内心驚きと胸のドキドキで心臓がこの上なく走りまくっていたが、それ以上の嬉しさで彼女は眩しいくらいの笑顔で返事をした。
「…もちろん!真ちゃん、ごめんね。」
その一部始終にクラスは口笛を吹きまくり、冷やかしまくりの大混乱であった。もちろん前で歌うのを強制される。
ただ、真理子1人は煮えたぎる嫉妬で顔を歪ませるものの、瞬時にまた不敵な笑みを浮かべた。
(大丈夫、まだ手はあるわ…。)