第7章 Turning point
ーSide 夏美ー
愛ちゃんと優ちゃんが真ちゃんを連れてきてくれ、眼鏡を押し上げながら仏頂面で話を振って来た。
「氷室か。…なんとなく察しはついたのだよ。高尾のことだろう?」
「…うん。真ちゃん、大正解。」
「お前ら去年のWCから全く口を聞いていないが、どうせ喧嘩でもしたのだろう?」
「…うん。それでね、まず仲直りしたいんだけど、高尾君の気持ちはどうなのか真ちゃん知ってるかなって思って。」
私の言葉に真ちゃんは両腕を組み、目を俯かせて悩んでいた。
「…わからん。というか、それこそ奴に聞けばすむんじゃないのか。」
きっぱりと言い放つ真ちゃんに優ちゃんはブーイングを入れる。
「だから、本人に聞きづらいからあんたに聞いたんじゃん!!」
そして優ちゃんのブーイングが効いたかわからないけど、真ちゃんは溜息をつきながら、目を俯かせて言う。
「…俺の推測でしかないが、お前と全く話さなくなってから、高尾はどこか無気力になっているのだよ。」
私は真ちゃんが確信を得ないことはあまり言わないことを知っているため、今の発言に目を見開かせて驚く。
「それと、お前がいないと俺も高尾も調子が狂うのだよ。だから、柳など気にせず遠慮なく入ってこい。」
真ちゃんは恥ずかしいのか最後は目線を逸らす。不器用な彼の口からそんな言葉を聞けるとは思いもしなくてかなり驚いた。
「…ふふ、真ちゃん。ありがと!思いやるなんて、随分成長したね!」
私は真ちゃんの言葉が嬉しくて堪らなくて、これ以上ないくらいの笑顔になりお礼すると、真ちゃんは赤面して「うるさい、黙れ」と決まり文句を言った。
優ちゃんなんか口が半開きになっていた。そして真ちゃんの背中をパンパンと叩く。
「緑間君、あんたって意外と優しいんだね!見直したよ!」
「江口まで!いい加減にするのだよ。」
「褒めてるのに、そんなムキになっちゃってー。緑間君って可愛い〜!」
「野崎!可愛いなんて言われて全く嬉しくないのだよ!」
2人にいじられてる真ちゃんを見て、私は思わず笑みがこぼれて2人に尋ねる。
「ね?真ちゃんって面白いでしょ?」
そして真ちゃんはムキになりながら、私達3人はお腹を抱えて笑いあっていた。