第7章 Turning point
ーSide 高尾ー
カラオケに入ってから真理子が素早く俺の腕を掴み、大きな胸を押し付けて来て、正直言ってうっとおしくて離すように忠告したけど、真理子は全く聞いてくれなかった。
夏美ちゃんは、一体どこいるんだ?っと結構離れてるな…。隣にはえぐっちゃんと野崎ちゃんか。あの2人はいい子だし、安心、安心!
大体真理子と2人っきりな事が多いけど、あの2人といた方が夏美ちゃん、すげ〜楽しそうだし。
さてと、問題は…こいつだな。
俺は目線だけ動かして真理子を冷たく見る。こいつとの事をさっさとなんとかしないと、次に進めない。
「ねぇ、和成。ド○カムのあれ、歌わない?」
「いーけど、そんなにくっついてちゃ俺もお前も歌いづらいだろ?」
俺がいつものように軽い口調で言うと、真理子は悔しそうにしてやっと離した。曲を入れて順番が回ってくると真理子に「ほいっ」とマイクを渡す。
クラスの奴らに冷やかされて、前で歌うことになっちまったが、あがり症じゃないし、相手は真理子だし特に気にせず歌うことにした。
俺は歌いながら夏美ちゃんをチラッと確認した。
あれ、いない?てかえぐっちゃんと野崎ちゃんもいねー!外に出たのか?
歌い終えて俺達が座ってた席へ戻ると、真ちゃんがえぐっちゃんと野崎ちゃんに声をかけられていた。
「緑間君、ちょっと来てくれない?」
「ひゅー、真ちゃんの色男!」
俺は口笛を吹いて茶化すと真ちゃんは俺に鋭い視線を向けて「うるさい、黙れ馬鹿め」とお決まりの文句を言う。
「一体わざわざ呼び出したりしてなんなのだよ?」
「お願い、どうしてもあなただけに話したい事があるの。だから来てくれない?お願い!」
そういって2人は頭を下げてまで真ちゃんに頼み込む。俺は真ちゃんの顔を覗き込んで、彼女達についてってあげるように促す。
「…よくわからないが、わかったのだよ。」
2人は真ちゃんにこれ以上ないほどの感謝を示した。真ちゃんがパーティルームを出ると、俺は真理子に耳打ちをする。
「…後でさ、話あんだけどいい?」
真理子は弱いはずの耳打ちに全く屈せず、平然として答えた。
「ええ。私も和成に話したい事あるから。後でね。」