第7章 Turning point
夏休みが終わりそろそろ文化祭が近づいてきた。ちなみに夏美は文化祭に初参加である。去年転校して来た時は手続きの関係でちょうど文化祭が終わっていたのだ。
夏美のクラスの出し物は定番の、メイド喫茶であった。当然夏美もメイド服を着ることになっている。前日準備で試着をすると、クラス全員から大絶賛だった。
(…ちくしょう!やっぱりかわいいー!似合いすぎ!)
高尾は彼女を遠目で見て悶えていた。
文化祭当日、皆夏美のメイド服姿見たさにクラスは大繁盛していた。
夏美は真理子と一緒に宣伝をしに行くと、彼女達の後ろは大行列ができて、ドリンクとフードがすぐになくなるが終了時刻まで写真撮影に追われていた。
「氷室さん、超可愛いー!次あたしと写真撮ってー!」
「夏美ちゃん、俺と記念に一枚取ってー!」
「氷室先輩!今度は俺達(私達)とー!」
「あのお姉ちゃん可愛いー!」
「あんた、私の若い頃に似てるねェ〜。」
などと、兄の辰也譲りで老若男女問わず大人気であり、夏美はヘトヘトになっていた。
後夜祭が始まるまで休憩し、体育館に向かう。無理矢理出されたミスコンで優勝しステージに出て豪華な商品と花束をもらい、微笑んでコメントを言った。
そんな彼女をみて高尾は見惚れながらも溜息をついていた。
(…あれから、夏美ちゃんと全くといっていいほど喋れてねーな。1年の頃が本当に懐かしいわ。)
次の瞬間、遠くにいるはずの夏美と目があった気がした。そう、彼女もコメントを言いながら必死で彼を探していたのだ。
(…高尾君かな?あんなに遠いけど、赤いカチューシャしてるから間違いない。なんか、今の私達みたいだね…。)
自分を見ている気がする感覚に、高尾はまた夏美にときめいて、胸が苦しくなる。
(…俺、やっぱりまだ夏美ちゃんの事、忘れらんねー。でも、一体どうしたら、いいんだ?)
後夜祭が終わり、夏美のクラスは打ち上げで近くのカラオケに向かった。