第2章 二度ある事は三度ある
そしてギリギリで緑間が教室に着いた。
「真ちゃん、荷物ありがとうな!助かったぜ!」
「ふん、別にお前のためにやったわけではないのだよ」
「ぎゃはは!なんだそりゃ!」
クラスが色んな思いで盛り上がってる中、担任が来てある言葉を発した。
「えー、今日はこのクラスに転校生が来た。皆よろしく頼むぞ」
クラスは一瞬静まるが、男子達が雄叫びに近い声をあげ、先ほどよりクラスはうるさくなった。
そして高尾も顔のにやけが止まらなかったので手で口を押さえた。
(え、マジで!絶対夏美ちゃんだよな!キタコレ〜!俺の春キタコレ〜!)
高尾の前にいる緑間は直接顔を見たわけではないが、何と無く感じ取った。高尾が嬉しがっていることを。
(やはり、惚れたのだな。あいつに。まぁ俺には関係のないことだが)
涼しい顔をして自負した緑間だがこれから彼も運命の渦に巻き込まれていく事を彼はこの時知る由もない。
しばらく経ってもあんまりにもクラスがうるさいので担任は、
「おい!おめーら、静かにしやがれ!転校生怖がっちまうぞ!」
そう言って黙らせた。
「じゃあ入っていーぞ」
「はい」
廊下から鈴を鳴らしたような、高くて透き通る声が聞こえ、その声の主が静かに扉を開けて教室へと入っていく。