第7章 Turning point
夏美は段々と新しいクラスに慣れていき、もうすぐ夏休みに差し掛かる頃だった。気がつくと真理子が緑間と高尾の側を陣取って話している姿が目に付くようになる。
(高尾君と真ちゃん、真理子ちゃんと楽しそうに喋ってる。いいなぁ、けど、行きづらい…。)
1年生の時は当たり前のようにそこが自分の居場所だったのに、真理子に取られた気がして胸が締め付けられた。
(…だめ!真理子ちゃんは友達だもの!それに高尾君の事別れても好きだって、私だけに言ってくれてたんだもん…!邪魔しちゃいけない…!)
ーー話はちょうど梅雨の時期、真理子と2人で近くのカフェに行った時に遡る。
秀徳女バスの練習試合の帰りに、酷い雨になり近くで雨宿りしようと、2人でカフェに入った。
それぞれ注文してドリンクをもらって席について、しばらく何も話さずゆっくりしていた所で真理子が突然話を振った。
「…ねぇ、夏美。相談したいことがあるの。あんただけに。」
「私だけに?どうしたの?そういうのすごい嬉しい!」
夏美が目を輝かせてハツラツとしていると、真理子は内心馬鹿にしながら微笑みを浮かべていた。
「…ありがと。夏美は本当に可愛いわね。あのね、あたし、ずっと中学の頃から和成の事、好きなの。」
「嘘!?そうだったんだ…。」
そう聞いて夏美は一気に表情が曇る。がしかし、真理子のために作り笑いをして耳を傾けた。
「…出会った時はチャラそうでガキっぽい奴としか思ってなかったんだけどね。
中2で一緒のクラスになって絡んでいくうちに、人の気持ちに敏感で察してくれるし周り見てるし、そういう1面が見えてきて段々好きになってった。もちろんプレーもね。」
(…高尾君って結構モテるよね。この前も隣のクラスの可愛い子に告白されてたし。)