第7章 Turning point
あれから月日は過ぎて4月になり昇降口でクラス分けが発表される。夏美は自分の名前を一生懸命に探していると、ある女子生徒に声をかけられた。
「氷室さん、おはよ!私達、クラス一緒だね。」
「あ、柳さんおはよ。って、ホントだ!これから、よろしくね!」
夏美はその女子生徒、柳 真理子の手を握って笑顔で元気いっぱいに言う。真理子は反対に穏やかに微笑んだ。
「ふふ、よろしく!…ねぇ、せっかくクラスも部活も一緒だから、真理子でいいよ。あたしも夏美って呼んでいい?」
「うん、もちろんだよ!真理子ちゃん!」
そして二人は他愛もない話をしながら新しいクラスへと一緒に向かい、教室に入っても談笑を続けていると、彼女らと仲良くしたい男女がたくさん寄ってきた。
夏美が転校してから多少影に埋もれてはいたものの、真理子もそれなりの容姿とスタイル、運動神経の良さ、どちらかといえばリーダー気質で面倒見がよく、表向きはサバサバしており男女からも人気があった。
そう、夏美とは別のタイプの女子だ。これから波乱に巻き込まれて行くことを夏美は知る由もなかった。
ーー始業時間ぎりぎりで、あるコンビが教室に入ってきた。夏美は扉を確認すると目は見開き口は半開きになる。そして高尾も彼女と同じような顔をする。
自分たちの席へ向かうためには彼女たちの側を通らなくてはならないので、仕方なく緑間と一緒に近づいた。
(…真ちゃんと高尾君!!また一緒なの!?どうしよう、高尾君と気まずいのに。)
(…マジかよ。うわー気まずっ!!しかも、真理子もいんじゃねーかよ。ちょっと、ヤバめじゃね…?)
驚いて声が出ない夏美と高尾をよそに真理子は口元を押さえて笑いをこらえる。
「…和成に緑間、また一緒なの!?あんたら、仲良すぎでしょ!?」
「うるさいのだよ、柳。それにこいつとはそんな間柄ではない。」
「…ぷ!振られてやんの、和成。」