第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
その翌日はいよいよ準決勝で秀徳対洛山の試合だった。試合は午後2:30からなので前日はゆっくり眠れて夏美はとても機嫌がよかった。
また兄、辰也への心配がほぼなくなった事で夏美はウキウキしながら会場へ向かう。
会場に着きミーティングが終わると控え室で時間になるまで、秀徳メンバーは緑間をいじって談笑していた。
ーー時間になり大歓声の中、試合が開始される。そして第1クオーターは同点に終わる。この時は夏美だけでなく秀徳メンバーの大半が違和感を感じていた。監督はまだ洛山が様子見をしていることを忠告し、こちらから仕掛けることを提案した。
第2クオーターで緑間にダブルチームが組まれるもののなんとか秀徳が先制点を取る。すると無冠の五将の1人の葉山が観客席にまで音が響くドリブルをついて、洛山以外の者を圧倒させた。
(ドリブルうるさっ!!それに、こっちは真ちゃんがいるからなんとか食らいついているって感じだわ…。それに赤司君はまだ何もしていない。)
夏美はヒヤヒヤしながら試合を見守る。そして第2クオーターも同様に同点で終了した。
第3クオーター開始でなんと赤司が緑間のマッチアップを仕掛けてきた。余りにもミスマッチなので夏美は驚きを隠さなかった。だが次の瞬間でその理由がわかった。
(嘘!?真ちゃんのジャンプのタイミングは完璧だったはず!それを飛ぶ前にカットした!?反応が早すぎるよ!!)
赤司の初めて目の当たりにした力に夏美は口が全開だった。だが次の瞬間はそれ以上に驚愕することとなる。
(高尾君が赤司君のカウンターに追いついた!いっけー!って嘘、高尾君が、跪いた!?もしかして、あれは!?)
そう、アンクルブレイクだ。NBA選手が仕掛けたのは夏美も見たことがある。それを日本の高校生がやったのを見るのは初めてだし、しかも狙って出せるプレイではないのに赤司はいとも簡単に跪かせた。
その事に夏美は先ほど以上に驚き、顔が青ざめた。それは今コートにいるスタメンも同じだった。
ここで第3クオーターは秀徳が14点のビハインドで終わってしまう。