第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
「悪かったって。機嫌直せよ。お前のお願いが可愛くて、ついな。」
タジタジになってるお兄ちゃんは両手を合わせながら謝り、私が喜びそうな言葉を言うけどその手はお兄ちゃんの常用手段だ。
「その手には乗りませんよーだ。」
私は依然としてそっぽを向いてるとお兄ちゃんは溜息をついて最終手段に出た。
「はあ、わかったよ。今度の買い物で奮発してやるからもう勘弁してくれないか?」
「やったー!!お兄ちゃん、やっぱり大好き!」
気分を良くした私はお兄ちゃんに抱きつく。最終手段とはわかっているけど、このままだとお兄ちゃんが可哀想だからここで引くことにした。
「はあ、久しぶりにやられたよ。それにしても、お前随分と大人になったな。何かあったのか?」
お兄ちゃんがいきなり私の顔を覗き込んで囁くように尋ねてきて、私は鋭すぎるお兄ちゃんがある意味怖くなる。
「え!お兄ちゃんがタイムアウトの時に泣いてたからだよ。」
「夏美意外と頑固だし、絶対、それだけじゃないだろ?ほら、言ってみな?」
お兄ちゃんからは逃げられないと思った私は俯きながら仕方なく1番の理由を言った。心の中でお祈りしながら。
ごめん、大我!死なないでね!
「…予選の帰りに大我に、告白されて…。」
お兄ちゃんも流石に驚くかと思ったのに、全く持って涼しい顔をしていた。
「なるほどな。その感じだと断ったろ?」
私は「うん」と大きくコクリと頷く。この分だと詳しく理由は言わなくてもお兄ちゃんならわかるはずだ。
「ま、大我じゃお前を手に追えないだろうからな。そうなるとは思ってたよ。」
「お兄ちゃん、大我の事舐めてない?」
「バスケでは負けてるけど、男としては俺の方が上だと思ってるから。」
大分上から目線だけどとりあえずスルーする。
「…え、じゃあ大我の事ボコボコにしない!?」
「はは、するわけないだろ。ただ、無理矢理手を出したら別だけど。」
そう聞いて私は胸を撫で下ろす。多分優しい大我は無理矢理するとかないだろうし。
よかった、お兄ちゃんと大我はなんとか仲直りできそうだね!あとは2人に任せよう。もう、それだけでいい。これで明日から秀徳の応援を精一杯できるね!
でも私の考えは甘かった事を思い知らされる。