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Field Of View〜君を捕まえたい〜

第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜


私は立ち上がろうとするとお兄ちゃんは私を放して、彼も立ち上がる。
私はお兄ちゃんの目をしっかりと見上げて、頭を下げる。


「…お兄ちゃん、今までごめんなさい!」


少しの間静寂が訪れ、それをお兄ちゃんが破った。



「夏美、顔を上げて…。」


お兄ちゃんはこれ以上ないくらい優しくて甘い声で囁くように言って、私の顔の輪郭に手を添えてゆっくりと私の顔を上げる。



お兄ちゃんの顔を見ると何とも切なそうな物悲しそうな表情だった。

「…お前はちっとも悪くないよ。なんで謝るんだ…?」

「…だって、あたし、お兄ちゃんが辛そうなのわかってたのに!ずっと、ずっと、戻りたいばっかり言ってたから、さらに追い詰めちゃってたのかと思って、あたし、あたし…!」


私は訳を言ってるうちにまた涙が溢れてくる。そんな私を見てお兄ちゃんはまた力強く抱き締めてくれた。


「…バカだな!悪いのは俺の方だ。俺の我儘で大我だけじゃなく、お前まで巻き込んだ…。お前が心配性なのはわかってたのに、それでも自分の気持ちを優先してた…!これじゃ、夏美の兄貴も失格だな…。」


お兄ちゃんの声は震えていて今にも泣きそうだった。だけど、かっこ悪いとか全然思わない。
寧ろやっとお兄ちゃんの気持ちが聞けて、嬉しさで胸がいっぱいになる。


私はお兄ちゃんの目を見たくて顔を上げて、目が合うと微笑みを向けた。背伸びをしてお兄ちゃんの頭を撫でる。

「もう!どんなお兄ちゃんでも私の大事なお兄ちゃんなんだからそんな事言わないのっ!!兄妹なんだから、遠慮しない!!」


お兄ちゃんは困ったように「やめろって」と言うと、私は手を止める。でも、微笑みはそのまま崩さずにお兄ちゃんを愛しく見つめる。


「…さっきのお兄ちゃん、どこの誰よりも、今までよりも一番かっこよかったよ!!私が保証する!…大好き、お兄ちゃん!!」


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