第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
私の言葉を聞いたお兄ちゃんは優しく微笑み頭を撫でる。大我は溜息をつきながらやれやれといった感じの顔をした。
「…全く、無茶すんなよな。大人しそうな顔して、手段を選ばないところ、誰かさんにそっくりだぜ。」
大我が呆れたように言うと、お兄ちゃんは大我に微笑みを向けて言う。
「ふふ、大我。それは俺のことかい?」
「…他に誰がいるってんだよ。」
余裕をかますお兄ちゃんに大我はタジタジになる。2人のやり取りはちょっとまだぶっきらぼうだけど、ちょっと昔に戻れたみたいで私はくすっと笑う。
「…何笑ってんだよ、夏美。」
「…だって、昔に戻ったみたいだから、つい。あと大我、さっきの言葉嫌味になってないよ!寧ろ、褒め言葉だし?」
私がそう大我を茶化すとお兄ちゃんも続いて、意地悪な微笑みを浮かべる。
「はは、そうだな、夏美。さすが、俺の自慢の妹だ。それに、大我。お前が俺達に嫌味言うなんて十年早いぞ。」
「うっせーな!ちっとは仲良いのも大概にしやがれってんだ!」
大我がムキになって反応するものだから、大我以外の3人は口を押さえて笑い出した。
またさらにムキになる大我だけど、それが可笑しくてついには3人とも吹き出してお腹を抱えて笑っていた。
負けを認めた大我は諦めてしばらく私達の笑いが止まるのを待っていた。
「そういえば何か話があったんじゃないのか、大我?それに夏美もかな?」
やっと落ち着いたお兄ちゃんは大我と私に話を切り出す。大我は罰が悪そうに溜息をつく。
「ワリィ…。そーゆー空気じゃなくなっちまった。後で話すよ、必ず!」
「…ああ、わかった。じゃあな。」
そう言って大我は先にこの場を去る。私的には別にいいと思うんだけど、大我のペースがあるからそっとしておいた。
でも私はここを去らなかった。大我はああ言ってくれたけど、それでもお兄ちゃんに謝りたかった。