第2章 二度ある事は三度ある
そして怪我の手当てが終わり、2人は保健室を出る。
「そういえば、君は何組なのだよ?」
「私今日転校してきたの!だから職員室行きたいんだけど、どこか教えてもらえる?」
「職員室はこの階段を二階に上がってすぐにある渡り廊下を通って、突き当たって左奥にあるのだよ」
「分かった!ありがとう!」
1年生の教室は四階にあるため、2人は途中まで一緒に行くことになる。夏美はこのまま黙ってるのも気まずいので、緑間に話を振る。
「ねえ、あなた高尾君の友達?お名前は?」
友達、という言葉を聞いて緑間は少しむず痒く感じた。
高尾とはバスケとクラス以外で共通点が見当たらないし、“友達”とは違う感じがしたので彼はこう答えた。
「緑間真太郎だ。それとあいつとは別に友達などではない。部活が一緒なだけなのだよ」
「緑間君ね。よろしく!あたしは氷室夏美っていうの。え、そうなの!あなた面白いわね!」
夏美がくすくすと手を添えて笑う。それをみた緑間はまた見惚れそうになるも悟られまいと彼は声の調子を上げた。
「一体何がおかしいのだよ??」
やはりそれでも彼女は彼を怖がらずに微笑みを向けて彼の顔を覗き込み言った。
「いやだって、ただ部活が一緒なだけでここまでするかなと思ってさ。私はてっきり仲良いのかなって思ったんだけどね!」
「ふん。どうだかな」
(…こいつ、初対面だというのに馴れ馴れしいな。苦手なタイプなのだよ)
だが夏美と喋ると自分のペースが乱されるものの、何故か嫌な気分にならないのが不思議だった。
そう喋っている内に二階にたどり着いたので、ここで別れることになり、夏美は手を振ってお礼を言う。
ふん、と返し眼鏡を押し上げて緑間は教室へ向かった。