第2章 二度ある事は三度ある
(やっぱり、消毒液しみる!痛ーいっ!!)
丁度手当てをされていた夏美は消毒液の痛みに顔を歪ませていた所で保健室の引き戸が開いた音を聞きそこへ視線を向けた。
「失礼します」
(…ん?あの人、さっきの?)
入ってきた人物を見て夏美は昇降口で会った緑間であることに気がついて声を掛ける。
「貴方はさっきの!」
緑間はふんとスカした返事をし夏美のそばにきて、荷物を適当な場所に置いた。
(でっかい!!お兄ちゃんより高いかも)
夏美は座ってるので、緑間の顔を見るために首が痛くなるほど見上げた。
彼女の首が辛そうだったので緑間は右膝を床につけて彼女に目線を合わせた。
(む、これはかなりの美少女なのだよ)
夏美の美貌にさすがの緑間も見惚れそうになるも悟られないようにしかめっ面になる。
けど夏美は緑間を怖がらずに微笑みを浮かべ彼を覗き込む。
「あたしの荷物、貴方が持っててくれたの?」
(な!?なんて可憐なんだ!いや、俺は年上の綺麗な女性がタイプなのだよ。こんなチンチクリンに見惚れるはずがない!!)
どうやら夏美の微笑みの破壊力はどうやら折り紙付きのようだ。緑間は必死で冷静を取り戻そうと務める。
「…ああ、そうだ。君のチャリも俺が学校まで漕いできた。クラスがわからなかったから、俺のクラスのチャリ置き場に君のを置いている」
「本当?!ありがとう!!あ、でも、あなたにも迷惑かけちゃってごめんね」
(ふ、目を輝かせたと思ったら、次は申し訳なさそうな顔をする。感情表現が豊かで忙しい奴だ)
大袈裟というほどではないが、自分と違い喜怒哀楽をしっかり表現できる夏美を緑間は不思議に思った。そして、先ほどの苛つきが軽減されたのを感じた。