第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
彼等が歩いてきた方向とは逆に向かって走っていると、黒子君と大我がいた。そして何か話しているようだ。
あれ、なんで黒子君があのリングを持ってるの?
2人にばれないように私は声が聞こえる距離まで近づく。
「おまっ…これ…捨てろって…!」
「捨てるわけないでしょう。とゆうかむしろボクにはあの時、捨てないでくれと言ってるようにしか聞こえませんでしたが。」
私は大我のちょうど後ろにいるからどんな顔をしてるのかわからない。でも黙って聞いてるからきっと図星なんだろう。
「けど、兄弟であることとライバルであること、その両方であり続けることはそんな難しいことですか?氷室さんにも色々思いはあるかもしれません。けど心の底ではわかってるはずです。」
黒子君に言われて大我は目を俯く。この時私の中でかなり黒子君の株が上がる。
黒子君…。私の言いたい事全部言ってくれちゃうなんて。影が薄いだけの子じゃないのね。
なんだか見直しちゃった!
多分私の口から言うよりも、効くんじゃないかな?悔しいけど!
大我は決心したように黒子君の手にあったリングのネックレスを持つと、黒子君がいきなり大我のジャージを引っ張る。
「…あの、いきなりすみません。火神君の後ろにあるそこの柱に誰かいます。」
え、ウソ!?ばれた!?
私は彼の鋭さに思わず口が半開きになって驚くと、大我が後ろを振り向いて私だと気付くと、目と口が全開になっていた。
「夏美!?」
「へへ、ばれちゃった!」
私は舌を出しておちゃらけると黒子君は表情を変えずに「どうも」と挨拶をした。
「じゃ、そーいうわけで仲直り、一緒にしに行こっか!」
私は無意識に大我の腕を掴むと、大我は赤面しながらお兄ちゃんの所在を尋ねた。
私は携帯を確認し返事がまだなかったので悩んでいたところ、黒子君が表にでるのを見たと言ってくれたのでお礼を言う。
私達は気を取り直してお兄ちゃんの元へ向かった。