第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
ーSide 夏美ー
私は観客席を出て廊下に出ると、携帯を出してお兄ちゃんにメールをし返事を待っていると、誠凛の人集りを見つける。けど、大我が見当たらないのでちょうど先頭にいたリコさんに尋ねる。
「いきなりすみません!誠凛の監督の相田リコさんですよね?」
当然リコさんはびっくりして戸惑っている。
「そ、そうだけど。いきなりどうしたの?ってあなたは秀徳のマネージャーの!?」
「はい、1年の氷室夏美って言います!あの、本当にいきなりですみませんが、大我借りてもいいですか?」
「まあ別にいいんだけど、火神君なら後ろにいるはず、っていなーい!?てか、黒子君も!?」
リコさんが後ろを振り向いて大我を探してくれたけどいなくて、また困り出す。
「ああ、黒子と火神なら後ろでなんか喋ってたぞ。」
そして木吉さんが代わりに私に教えてくれたので、お礼を彼に言う。その時の彼の微笑みが優しくて、お兄ちゃんというよりパパみたいだった。
そうだ!無理矢理だけど折角リコさんと絡めたんだからアドレス交換しとこ!
咄嗟に思い付いた私はちょうど持っていたアドレスを書いたメモを渡す。
「あと、リコさん!恐縮ですけど、私、WC予選で見たときから憧れてて。よかったら私のアドレス登録して下さい!」
私が笑顔で言うと、リコさんは顔を真っ赤にしてメモを受け取ってくれた。
「あ、ありがと…。」
「おー、よかったじゃないか、リコ。こんな可愛い後輩ができて。」
木吉さんが微笑みながらリコさんの背中をぽんと叩くと、彼女は「やめてよ、鉄平」と恥ずかしそうに言い返す。私は試合の時の彼女とギャップを感じ、先輩だけど可愛いと思ってしまった。
そして、彼らに再度お礼を言って大我の元へ向かう。