第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
タイムアウトが終了し、試合が再開する。揉めてた陽泉だがなんとか落ち着いた。
いや、むしろ今までで1番強そうだ。紫原は長い髪を結んで闘志が漲っており、辰也は吹っ切れた顔をしていた。
その後の試合展開は辰也と紫原の鮮やかな連携プレーが見れて、観客や夏美は正直驚いた。
(お兄ちゃんは自己中って程じゃないけど、基本1人で黙々とやっちゃうタイプだからな。今までで1番好きなプレーかも!)
陽泉の連携プレーを仕掛けられたことで誠凛はピンチになるが、ラスト1分で木吉が帰ってきて一気に雰囲気が変わる。やっぱり彼の存在で誠凛のインサイドは随分と違う。
そして戦いは熾烈を極め、残り4秒で火神がレーンアップをするのかゴールから少し遠目でジャンプする。けど、それには飛距離がまだ足りないが高さはかなりあった。
それはアレックスが火神を特訓した時に教えた、流星のダンク(メテオジャム)だ。
特訓では1度も決められなかったがゾーンに入ってたため、見事に決まり、ここでやっと誠凛は逆転した。
一安心かと思いきや木吉が紫原に気づいて「まだだ」と渾身の力で叫ぶ。火神はもう限界で立てなかった。
辰也からパスが渡りシュート態勢に入る紫原だが、連続の跳躍の負荷がここできて、ジャンプができなくなっていた。予測していたのか、黒子が走って紫原の元へ向かい、ジャンプしてボールを弾き飛ばした。
ここでタイムアップ。72対73で誠凛の勝ちで幕を閉じた。両校が整列して挨拶を終えると、歓声が湧き上がる中で夏美は無我夢中で拍手をした。
(すごかった…。どっちも!いい試合だったよ…!!大我、お兄ちゃん!!)
次の試合が控えているため両校とも荷物を片付けて立ち去ろうとしているところで夏美はいても立ってもいられず、席を立って高尾と緑間にお辞儀をして、頼み込む。
「真ちゃん、高尾君!ごめん、集合時間までにはちゃんと戻るから、この場を外してもいい?」
必死で頼む夏美に2人は同意するしかなく、「ちゃんと時間になったら戻れよ」とだけ言って、夏美を送った。当然夏美はお礼を言って、小走りで観客席を出た。