第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
第4クオーターは陽泉のOFから始まるが、誠凛のDFがなんと2-3ゾーンの形で3人は口を半開きにしていた。
「大我が真ん中にいる!ってことは紫原君と同じ事をしようとしているの?」
「多分木吉さんがいねーからだろな。あと高さで対抗できるのは火神だけだしな。」
問いかける夏美に高尾は冷静に言い聞かせた。しかしまだ納得のいかない夏美は拳を顎に当てる。
「そうよね。無茶なのは相変わらずなんだから。」
また誠凛のDFになった時、S.A.Mディフェンスが辰也のドリブルにより崩されてハーフコートに移行し、再度2-3ゾーンを組み立てた。
夏美と高尾は遠くからでも辰也の気迫と動きのキレが増したのを感じ、試合開始前と同じ事を2人して思っていた。
辰也と火神のマッチアップになり、辰也が陽炎のシュートを放つ。そこで夏美は目を見開く。
(大我、ジャンプをワンテンポ遅らせた!?もしかしてシュートのからくりに気付いたの!?)
だが、それでも陽炎のシュートは決まる。なぜなら辰也は相手の出方でシュートを放つタイミングを決めているからだ。
(気付いた大我もすごいけど、お兄ちゃんもだよ。頭はcoolに心はhot、まさにその通りね!)
ドキドキハラハラする展開に夏美はまた口角を上げ、2人の兄弟を誇りに思った。
(あれ、大我、誰かと喋ってる?あのユニフォームは海常だよね。)
「ねぇ、高尾君。今大我と話してる人知ってる?」
「ああ、黄瀬君だよ。あいつもキセキの世代の1人。」
「そうなんだ!ありがと!」
とりあえず夏美は目を凝らして火神と黄瀬を見る。黄瀬と話して吹っ切れたような火神を見ると夏美は口元を軽く抑えて微笑む。
(ふふ、大我、日本に帰っていい友達とライバルいっぱいできたんだね。)
ここで誠凛はタイムアウトを取った。