第2章 二度ある事は三度ある
「よいしょっと。着いたぜ!!」
高尾は保健室に到着すると夏美をすぐに降ろした。彼の今までの行動を振り返り夏美は顔が緩む。
(高尾君、初対面なのにここまでしてくれるなんて本当に親切でいい人なのかもしれない…。それに明るいし、よく見たら顔整ってるし、モテそうだな!)
「本当にありがとうね!初対面なのにここまでしてくれて!!」
夏美ははち切れんばかりの笑顔で感謝した。
その笑顔を見た高尾は心が締め付けられた感覚を味わい、さらに胸の鼓動が高まった。
(…な!?普通にしててもめちゃ可愛いのに、笑うと更に破壊力抜群じゃねーか!?)
「あと、自転車ぶつかっちゃってごめんね。またね!」
夏美は手を振って保健室へ入っていく。
一方、高尾は湯気が出るほど顔が真っ赤になりしばらく呆然とした。
(…ああ、俺もうダメかもしんねーな。一目惚れってやつか、これが)
余韻に浸りたかったが、後ろから高尾の頭に何か乗せられて、ふと我に返る。
「やっと、追いついたぞ。あの子のクラスがわからなかったら意味ないのだよ!」
「…あ、真ちゃんか。氷室さんなら保健室入ったぜ」
「ん?ああ、分かった。彼女に渡してくるのだよ。先行ってていいぞ」
高尾の様子が明らかにおかしいが、緑間はとりあえず後にする。そして高尾は自分の教室へ向かっていた。