第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
アレックスの熱烈な長いキスからやっと解放された夏美は呼吸が落ち着いてから、アレックスになぜここにいるのかもう一度尋ねた。
「ああ、愛弟子の辰也と大我の試合を見に来たんだよ。それに大我には教え残したことがあるからもそれも兼ねて、な。」
アレックスの流暢な日本語に目が点になり、間髪入れず高尾は突っ込んだ。
「え、ちょっと待って、日本語!?てか夏美ちゃんとどういう関係っすか!?」
アレックスは高尾の方へ振り向く。
「すまないな。紹介が遅れて。私はアレクサンドラ・ガルシアだ。よろしくな!」
「アレックスはね、お兄ちゃんと大我のバスケの師匠なの!でね、あたし達が日本語教えたから、日常会話はほぼ完璧だよ!」
夏美が嬉々として説明を付け足すと緑間と高尾は納得してうなづき、共に簡単な自己紹介をする。
アレックスは誠凛メンバーと一緒に試合を見ていた時に緑間を覚えていたため、彼に握手をしながら絶賛した。
「てゆうか、お前とここで会えるとは思ってもいなかったよ。あのシュートはNBA選手でも公式戦で決めたことはないぜ。相当努力しただろ?」
緑間の顔をしっかり覗きこんで言うアレックスに緑間は終始赤面し仏頂面になる。それは彼が年上の女性がタイプであるからだろう。
「…ありがとうございます。別に人事を尽くしているだけです。」
「「嘘だろ(でしょ)!?、あの真ちゃんが謙遜してる!!」」
緑間の発言に高尾と夏美はタイミングが揃ってお互いに顔を合わせる。
「はは!お前ら仲良いんだな!」
アレックスが突っ込みを入れると緑間以外の3人はお腹を抱えて体を震えさせて大笑いした。それを緑間が一喝するが、全く効果がないため3人が落ち着くまでしばらく待った。
「ああ、すまないな、緑間。つい笑っちまって。」
アレックスが鼻をこすりながら謝ると高尾と夏美は手をブンブンさせて全力で否定をする。
「「いーのいーの!!真ちゃんはいじられキャラだから!!」」
また揃ったので3人は大笑いして、緑間は怒る気力もなく終始呆れていた。
夏美はメンバーが違うもののロス時代と重なって懐かしく思いながら笑っていた。