第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
「…う、ううーん。あれ、私、いつの間に…?」
夏美が目をこすりながら目覚めると、誰かの膝の上に乗っているのがようやくわかり、ハッとして仰向けになって誰がいるのか確認すると、口と目が限界まで広がり青ざめた顔をした。
「…!!え、何これ!?た、た、た、高尾君!?の膝の上に何で私いるの!?」
夏美がわけもわからず混乱していると高尾が背伸びをして目を開けた。そして自分の膝元にいる夏美に視線を向け、意地悪な微笑みを浮かべる。
「お、起きたか。おっはよー!よく寝れたか?って、今すげー顔してんな。」
恥ずかしさのあまり夏美はバッと勢い良く起き上がる。
「おっはよー、じゃないよ!この状況明らかおかしいでしょ!?」
口がわなわなして慌てている夏美に高尾はケラケラ笑いながらも冷静に言い聞かせる。
「えー、だってさっき膝枕する?って冗談で聞いたら夏美ちゃんが素直に倒れてくれたんだぜ。」
余裕な高尾とは裏腹に夏美は湯気が出るほど赤面させ顔に熱を帯び、声がどもって主張ができない。
そんな夏美に高尾はいじらしく思い、さらにからかい続ける。
「なーに、恥ずかしがってんだよ?アメリカじゃこーゆうスキンシップいっぱいしてたんじゃないの?」
「…だ、誰でもかんでもするわけじゃないし!そ、それに皆勘違いしてるけど、私、恋愛経験豊富じゃないし!」
夏美の意外な言葉を聞いて、高尾は内心驚くがそれよりも嬉しさで胸がいっぱいになる。
(へー、どうりで頭撫でたぐらいで赤くなるわけか。ほんと、可愛くてたまんねぇわ。)
思わず顔が綻んで緩む高尾を夏美は怪訝そうな顔で睨む。ただ上目遣いになってるので全く効果がない。
「な、何よ?そんなにおかしい?」
(睨んでるつもりなんだろうけど、それさえも可愛いわぁ。)