第6章 WC開幕〜Ready Fight!〜
眠い目をこすり、あくびを必死に押さえて夏美はプラカードを持ちかったるい開会式が終わるのを待っている。
(…裏ルートで回ってきた対戦カード見て興奮しちゃったもんな〜。準々決勝まで勝てば誠凛は陽泉に当たる!だけど、誠凛の初戦は桐皇…。)
(いきなり山場なんだもの、心配で夜本当に眠れなかった…。大我には心配するなって言われたけど、やっぱり気になっちゃうよ〜。)
なるべく平静を装い考え込ながら眠気と戦う夏美であった。そしてやっと式が終わり、秀徳は試合までフリーなので、控え室に集合した後、監督から各自自由行動していいと言い渡した。
そう言われて早速ベンチに座る夏美の隣に早速高尾も座り、夏美は高尾と目が合う。
「夏美ちゃん、超眠そーだな!!膝枕してやろっか?」
「…。じゃあそうさせてもらおうかな。」
「へ?マジ?」
ケラケラと笑いながらからかう高尾に夏美はあまりの眠さにそのまま彼の膝へ倒れ込む。いつもなら反抗するのにやけに素直で高尾は嬉しさと動揺が混じる。
アワアワしている高尾を他所に夏美はスゥスゥと静かな寝息を立てて眠ってしまった。高尾は普段見れない夏美の寝顔を覗き込む。
夏美は高尾から見たら横顔になってるため、睫毛の長さをここで再確認する。
普段とは違ったあまりの美しさに高尾のみならず、その場にいたもの全員が写メを撮るのを忘れるほど見惚れてしまった。
しかしいつまでここにいても仕方ないと思った大坪は咳き込んで観戦を提案する。
「せっかく全国大会なんだ。ここにいても仕方ないし、各自見たい試合を見に行くぞ。それと高尾は、氷室の事頼むぞ。」
高尾は豆鉄砲を食らったような顔をして大坪に聞き返した。
「へ!いーんすか!?」