-----フクオカファーストハイスクール-----
第1章 うるさいギタリスト
いよいよ音楽のテスト前日になった。
今日も土手に座って、アコギをかき鳴らす。最終仕上げだ。
「Fの音も、きれいに鳴らせる回数増えたじゃん。リズムもオッケー。
これでテストはばっちりだな!!!!エリー!!!」
すごく嬉しい。
「でも、F、テストでちゃんと鳴らせるかな・・・」
「大丈夫。なかなかFをきれいに鳴らせる人ってあんま居ないんだよね。
だからきちんと押さえて、いちおう響かなくても音を出せただけでポイント高し!!」
「そっか!ならいけそう!」
「自信持って!!エリーならできる!なにしろ今までこの俺、柴田秀之様がここまで成長させたんだからな!」
「ありがとう、なんだか妙な自信がついた」
「妙なってなんだ。妙なって。ぷぷ。まぁぶっちゃけ、Fってギター初心者が最初につまずくトコなんだよね。
でも、努力してれば絶対弾けるようになるんだわ。
今もまだきれいに鳴らなくてつらいでしょ?だけどきれいに弾けるようになったとき、そのぶんすげー嬉しいから。努力の成果だからね。」
「ほぇ-」
「ま、別に明日のテストでは、Fは難易度が高いから弾けなくても気にしないで。
今のはまめちしきみたいなモン。
まーこの秀之様はばっちりだけどな。ぷぷぷ!」
「もー!チャゲ!」
「じゃ、これにてチャゲ先生のギターレッスン最終回、終わりだな!あとは全力を尽くせよ!」
あっ・・・そっか、これでもうギターは教えてもらえないんだ。
テストに向けての練習だったもんね。当たり前だ。
でもどうして、まだやめたくないよ。
上手くなって自信も付いたのに、もう万全なのにさ。Fも押さえられてればいいみたいだし。
でもでも、やっぱり、さみしいんだ。