-----フクオカファーストハイスクール-----
第3章 アヤシイ雲行き
それでチャゲの話というか、彼の思い当たる節をいろいろ聞いたが、
彼の結論としては自分の存在が飛鳥には邪魔なんじゃないの、ってことだった。
チャゲ、泣きながら話してた。
泣いてるって言ったって、わんわん声を上げて泣くんじゃなくて、涙を流すって表現が当てはまるような泣き方だけど。
「そっか・・・でも、飛鳥ってそんなふうに他人を排除するようなこと、する人じゃないと思ってるんだよね。
少なくとも自分がちょっと接してて感じたことだけど」
飛鳥のほうでもまた何かあるのかな?
そうなると飛鳥にも話を聞いておきたい。
「そうなのかな・・・」
「今の時点では、なにも言えない。私、飛鳥に話を聞いておくから。
彼も彼で事情か何かがありそうな感じだし」
「そう・・・だね。ごめんね、エリー・・・」
しかし、こんなに元気のないチャゲは初めてだ。
たぶん友達全員、誰も見たことないぞ。
「大丈夫。チャゲにしても飛鳥にしても、
このことはこのまま放っておいちゃいけないって」
「うん、うん・・・」
うるうるするチャゲ。
ぽた、ぽたと涙をこぼす。
「ん・・・」
チャゲは鞄を探ると、ハンカチを取り出し目に当てた。
私があげたハンカチ。
「使ってくれてたんだね」
「ん、ん。」
彼にしてみたらほんと大変だと思う。何も分からないのに勝手に他の人の噂で悪評が広まるのみって状況。
「このことはさ、首を突っ込んじゃった手前、責任持って解決するからっ!ね。」
「エリー・・・・・・・・・」
そう言って手を握ってくるチャゲ。不安なんだろうな・・・
飛鳥と違ってゴツくはないけど、あったかい手。
そっと握り返す。
結局この日は暗くなるまで・・・帰らなくちゃいけなくなるまでチャゲと一緒に居た。
・・・あとは明日、飛鳥に話を聞かなくちゃ。