-----フクオカファーストハイスクール-----
第2章 北海道からの転校生
放課後の、川辺。
あのときみたいにまた二人土手に座り、話す。
「あいつさぁ歌うまいし顔も整ってるしで、俺以上の人気でさ・・・
俺にひっついてた女子、みーーーーーーーーんな宮﨑のほうに行っちまった・・・
もう誰も聞いてくれないんじゃ、俺は歌い続ける力が出ましぇん・・・」
隠し持っているタバコを吸いまくるチャゲ。
いつもは絶対1本以上吸わないのに、今日はもう3本目・・・相当きてるんだな。
※20歳未満のひとびとは、絶対にチャゲのまねをしてはいけませんよ!
「チャゲもう今日はタバコやめなさい」
「わかった、これで終わりにするからさ」
「うん、それが良いって。というかそもそもアンタは吸っちゃいけないんだからね~。
てかさ、『もう誰も聞いてくれない』って言ったよね?」
「うん」
「それは間違ってるよ。だって少なくとも私がいるじゃんか」
「あっ」
・・・やっぱ、今日はチャゲにいつものような元気がないなぁ・・・
「『あっ』じゃないよもー!あのねぇチャゲ・・・というかそもそも音楽って、比べられるようなモノじゃないんだと思うんだよね。」
「んんんん?」
「よくさ、この人が良い、いやこの人のほうが歌うまいとか、比べようとするじゃない。
でも結局それってさ、バナナがおいしいかリンゴがおいしいかみたいな話でさ、
その人の好みの問題なんだよね。」
「なぁるほど」
「私はチャゲの歌が好き。
それは、もし重明くんの歌が気に入っても、変わらないから。
ただチャゲの歌も重明くんの歌もどっちも好きだなーってなるだけ。」
「ほほう」
「チャゲは歌うことが好きだから続けてるんでしょ?そこに人が集まってきたてだけで、
人を集めるなら何でも良かったわけじゃないでしょ?
なら、続けなよ。自分が楽しいからやってるんだからさ」
「周りがどうこうじゃなく、自分らしく居れば良いってことだね」
「そ!」
「そっか。俺、方向性がわかんなくなっちゃってたみたい・・・」