-----フクオカファーストハイスクール-----
第2章 北海道からの転校生
てなワケで、保健室にいる。
部活中手首をいためて冷やしに来たんだと。
さらに手のマメがつぶれてそこも処置しに来たんだと。
「ね、ちょっと、消毒手伝ってくれないかな」
「あっはい!」
先生が職員会議に行っているらしい。先生いないからセルフなのか・・・彼に呼ばれて近くによると、べろんと剥けた手の皮。
マメがつぶれると痛々しいことになるんだな・・・ひいいいいいいい
「消毒液を、ここの皮が薄くて赤くなってるところにかけてくれる?」
反対の手で、指さす。
消毒液を少しずつかける。はじめはちょっと。
「いてっ」
「ごめんね」
「いや、痛いのはしょうがないよ。我慢しなくちゃーな。」
消毒液をかけ終えると、ガーゼを当てて医療用テープで固定する。
「ここは俺がやるから大丈夫だよ」
「いや、手首もいためてるんだから、あまり動かしちゃ駄目だよ。テープ貼るよ」
手が動かないよう、そっと押さえる。大きくて肉厚のやわらかい手。
「いてて・・・ごめんね」
テープを切って、ガーゼを固定する。
「さすが女の子。繊細な手つきだなー」
作業する私の手元をまじまじと見ながら、そんなことを言ってくる。
「そ、そうなのかな。」
「ふふ。俺はガサツだからね・・・」
そんな感じで妙にドキドキした雑談をしつつ、手首を冷やすための氷のうも作り、保健室への用はなくなった。
「氷のうの袋は、帰るときに保健室に返してね」
「うん。江里ちゃんだっけ。わざわざごめんね、ありがとね。」
「どうせ部活ないからヒマって言ったじゃん、気にしないで!
じゃ、これでいいかな。」
「あの、えっとさ・・・」
今度は何じゃい。
「練習場所への帰り道自信なくて・・・帰りも案内してほしいんだけど・・・」
なにい。まぁいいか。