-----フクオカファーストハイスクール-----
第1章 うるさいギタリスト
西鉄福岡駅からチャゲの案内で、
チャゲが行きたいと言っていたカフェに向かった。
「おいエリー、ここだよ、ここ!」
そこは小さなログハウス。
花がたくさん植えられ、手塗りで白く塗られた看板には、おしゃれな字体で店名が手書きされている。
入り口にはかわいい犬の置物が数匹。
扉のウェルカムボードまでいちいち凝ってる。
たしかに、ここに男一人では入りづらいだろう・・・納得だ。
「おっ・・・お前から入ってくれない?
なんか俺は『あくまで連れられてきた彼氏』みたいな方向で行きたいんだ」
「な~るほど・・・そんなに恥ずかしいの?」
チャゲは顔を赤くしている。
「え、いや、彼氏って言っちゃっ・・・いやなんでもないですはい」
自分でそー言って照れてやんの。
「あーっもうとにかく行こ行こエリー」
そう言って背中を押してくる。
「はいはい」
木製のドアを開けると、カランコロンとベルの音がする。
「いらっしゃいませ~」
手作りであろうエプロンを着けた店員さんが、明るく挨拶して、席に案内される。
かわいいテーブルクロスにいすカバー。
全てのテーブルには観葉植物と何かしらの小物が飾られ、
壁には同じようなテイストのインテリアが並ぶ。
上を見上げると、丸くて可愛い照明がつり下がっている。
改めて思うが、男一人では入りづらい。絶対に。
「さ~て何にする?」
マスキングテープやレースでコラージュされた、手書きのメニューをこちらに差し出すチャゲ。
つぶらな瞳と目が合って、笑い合う。
「えーとね・・・」