-----フクオカファーストハイスクール-----
第1章 うるさいギタリスト
昼休み、机に座りながら、アコギを鳴らしつつ歌うチャゲ。
教室だけではない。中庭やら廊下やらどこでも行われる。
いつもの光景だ。
まわりには人だかりができ、ミニコンサートみたいになっている。
やっぱり今渡すのは難しいか・・・
女子も囲んでるし、そいつらにキャーキャー言われたらめんどくさい。
・・・・・・・・・
結局昼休みは渡せずじまいだった。
こうなったら放課後、教室から出てくるのを待とう。
・・・・・・・・・
黒いギターケースを背負った人影。チャゲだ!
「チャゲ!」
「おぅ、エリーじゃん」
「あの、これギター教えてくれたお礼に」
小さな正方形の包みを手渡す。
「えっ?俺にくれんの?
やったねぇ、女子からプレゼント貰うなんてなぁ~~~❤ありがとう!」
「わざわざ時間取って、それも、毎日教えてくれたからさ・・・なにかお礼したくって。
昼休み人だかりに入っていけなくて今渡すことになっちゃった。」
話している間に、チャゲは包みを開けていく。
「手間かけさせちゃったね。あっ、おっ、いいじゃんこれ!!カワイイ!」
「こんなので、良かったかな・・・」
「良いよ良いよ!あっ、もっとお礼がしたいんだったら、俺とお食事に付き合ってくれな~い?」
なに!!!食事のお誘いだと!!!
「オサレなカフェ見付けてさ、すんごい気になるんだけど、男一人で入るには勇気がいるんだよな、オサレすぎて。ぷぷ。
だから、だれか付いてきてくれるコ、いないかなーって。あ、俺おごるから大丈夫だよ!俺が行きたいだけだからね。」
「えっ、行く!」
「よっしゃ~~~~ヒャッホォイ!お前日曜空いてる?」
笑うと、彼はつぶらな瞳がさらにつぶらになる。可愛い。
「今のトコ空いてる!」
「じゃ、日曜の11時、西鉄福岡駅の正面口集合!」
「オッケー!」
やった、チャゲとランチだ!