第3章 3咲目,初陣
その剣は真っ赤に染まっていた。
私が、この女性と彼を殺した。
見るも無惨な姿に。
のちに、その姿はまるで美しく気高い薔薇が咲いたみたいだと、猟奇的殺人者が言った。
私の誘拐事件は新聞に大々的に載せられ、人々の記憶に残った。
私に残ったのは、愛した人を殺してしまったという事実。
たとえ、あんな酷い目にあったとしても、クィゼを愛していたことには変わりない。
私に関わった大切な人はみんな不幸になる。
クィゼも私が狂わせてしまった。
だから私は…誰も愛してはいけない。
みんな、不幸にしてしまうから。
こんな化け物の傍にいたいと思う人はもういないだろうから。
その方がいい。
そうじゃなきゃ、みんな死んでしまう。
私が、殺してしまう。
もう人を殺したくない。
だから…私は…
ーーーもう誰も愛さないーーー