第2章 2咲目,入団
その綺麗な微笑みに思わず魅入ってしまい、呟きが漏れる。
「綺麗…」
私の呟きが聞こえたのか、リヴァイさんは訝む。
「何が綺麗だと言うんだ?」
「え…あ…口に出ちゃってましたか?やだ…恥ずかしい…」
「だから、何が綺麗なんだ」
「あ…えと……リヴァイさんの笑顔、とっても綺麗ですね」
にこりと微笑むと、彼は驚いたように目を見開いた。
だがそれもすぐ無くなり、目を細めて眉間にシワを寄せる。
「…そんなことを言う奴はお前が初めてだ」
「そうなんですか?とても綺麗で素敵な笑顔だと思います。もっと笑えばいいのに…」
「…そんなことできるか。俺がヘラヘラしてるとこなど想像してみろ、気持ち悪い」
「そうじゃなくて…今みたいに微笑むくらいがいいんですよ」
「…勝手に言ってろ…」
リヴァイさんはため息をついた後、思い出したように言った。
「ひとつ言っておく。俺は気が短い方だが、今回だけは待ってやる。よく考えて答えを出せ」
「あ…はい…」
さっきの告白のことだと言うことがわかり、頷いた。
でも…ごめんなさい、リヴァイさん…私は…人を愛してはいけないんです。
だって私は…忌み子だから…。
いつの間にかうつむいて暗い表情をしていたのか、リヴァイさんがまた眉間にシワを寄せる。
「嫌なら今断ってもいいんだぞ」
「あ…いえ…そうじゃないんです。告白は嬉しかったですし…」
「ならなぜそんな顔をする」
「…私は…人を愛してはいけないんです…」
「?それはどういう…」
リヴァイさんが言葉を紡ごうとした時、勢い良くドアが開かれた。
「イリアー!遊びに来たよ!」
入ってきたのはハンジさんだった。
その元気な姿を見て忌々しそうに睨むリヴァイさん。
「ハンジ…てめぇは毎回毎回タイミングがわりぃな」
「へ?何のこと?ていうかなんでリヴァイがここに?エルヴィンと審査鑑定してたんじゃないの?」
何も知らないハンジさんは首を傾げる。
それはそうだろう。入ってきていきなり睨まれた挙句いるはずのない人がいるのだから。
「なんだっていいだろうがノックくらいしろ非常識が」
「え~リヴァイだってしないじゃん!それにイリアはしなくてもいいよって言ってくれたんだからいいじゃないか!」
「うるせぇな頭に響くんだよその声」