第2章 2咲目,入団
入団テスト当日の夜。
俺はテストの結果をイリアに伝える為前に会っておこうと思い、あいつの部屋に来た。
だが、ノックをしても返事がない。どこかに行っているんだろうか。
あいつは部屋に戻ったと他の兵士たちが言っていたからそんなはずはない。
俺はドアノブに手をかけ、回した。
ドアを開いて中を少しだけ見てみると、何もかけずにベッドで眠っているイリアがいた。
俺は部屋に入り、イリアの前に立った。
「ったく…風邪引くだろうが…」
無防備に眠るイリアに毛布をかけようとすると、こいつは寝返りをうって横向きに俺の方を向いた。
暑くていくつかボタンを外したんだろう。シャツの間から谷間が覗いた。
「っ…」
人間は寝ている時が一番無防備な顔をしやがる。こいつは、特に。
俺はほぼ無意識にこいつの顔に自分の顔を近づけた。
よく見ると、とても綺麗な顔立ちであることが良くわかる。
「…本当に無防備だな…」
イリアの髪を梳くとさらさらと流れるように手から落ちていく。
俺はしばらくイリアの顔を見つめていた。
一向に起きないこいつに、俺は我慢の限界を迎えた。
「…ちゅっ…」
こいつの無防備な唇に、自分のそれを重ねた。
触れるだけの、軽いキスをするつもりだった。
だが、予想以上にこいつの唇が柔らかくて、離すことが出来なかった。
いい加減離れようと思ったとき、イリアの目がうっすらと開いた。
イリアが、目を覚ました。