第2章 2咲目,入団
「…いや、なんでもない」
「?そうですか?」
「あぁ、それより大丈夫なのか」
「あ、はい!兄の夢を見ていたみたいです」
「…そうか」
「はい。あの…昨日は色々とご迷惑をおかけしてすみませんでした…」
多少なりとも怒られることを覚悟してうつむく。だが降ってきた言葉は想像と真逆だった。
「…誰が迷惑だなどと言った」
「え…?」
「…俺は迷惑だと思ったことは一度もない」
「リヴァイさん…」
「…ガキは我慢なんざしなくていいんだ」
あぁ…やっぱりこの人は優しい人…。
また涙が溢れそうになる。
「…おい、なんでまた泣く」
「っ…ごめんなさい…そんなこと言ってくれる人…リヴァイさんが初めてで…私、迷惑じゃ、ないんだって…実感してっ…」
昨日散々泣いたはずなのに、涙が止まらない。
何故だか、この人の前だと泣き虫になってしまう。
でも彼は、そんな私をまた抱きしめてくれた。
「…そんなことで泣くな。嬉しいなら…笑え」
「っ…はいっ!」
涙を流しながら満面の笑みを浮かべると、リヴァイさんは目を見開いた。
だがそれも一瞬のことで、すぐにいつもの無表情に戻ってしまった。
「…そろそろ朝飯の時間だ。支度しろよ」
「あ、はい!また後でよろしくお願いします!」
「あぁ」
短い返事をし、部屋を出ていくリヴァイさんの背中を見送りながら、心が温まっていくのを感じていた。
「さて!支度しなくっちゃ!」
今日はいよいよ入団テスト。頑張らなくちゃ!