第2章 2咲目,入団
「リヴァイさん…?どうしたんですか?こんな時間に…」
「…今、少しいいか?」
「?はい、ちょうど眠れなかったので、構いませんが…」
「ならついて来い」
「え?どこにですか?」
「……」
リヴァイさんはそれ以上は何も言わず、スタスタと歩いて行ってしまう。私は訳がわからないまま、彼について行った。
リヴァイさんに導かれるままやって来たのは中庭だった。彼はベンチに座り、私にも隣に座るよう促したので座った。私は綺麗なたくさんの星を見上げた。
「綺麗ですね…」
「…そうだな」
「星…お好きなんですか?」
「いや…好きでも嫌いでもねぇ」
「そうなんですか?私は好きですよ…お母さんやお父さん…お兄ちゃんが…見守ってくれているような気がして…」
そう言って後悔した。あの時の光景が蘇って、涙が溢れて来そうになった。
リヴァイさんに悟られないように、うつむいて顔を見られないようにした。
でも、彼にはそんなことをしても無駄だった。
「…泣いているのか?」
「っ…泣いて、ませんっ」
「…そうか」
私が必死に涙を堪えていると、暖かいものに体が包まれた。
不思議に思い、少しだけ顔を上げると、そこには無表情だが優しい雰囲気をしたリヴァイさんの顔が間近にあった。
「り、りリヴァイさん!?え、え…!?」
私は軽くパニックになり、顔が真っ赤になった。どうやら私は彼に抱きしめられているらしい。
「騒ぐな、みんな起きちまうだろうが」
「あ…す、すみません…」
「…何我慢してんだ」
「え…?」
「ガキはガキらしく泣いとけ」
「!!っ…」
私の心を見透かすように彼は優しく言って私の頭を撫でる。その大きな掌は少し冷たかったけれど、温かく私の心を溶かしていった。
でも、リヴァイさんは潔癖症だから、汚さないようにしないと。私はまだ涙を堪えていた。
「うっ…ふぅっ…っ!」
「…何も気にすんじゃねぇよ。汚したらまた洗えばいい」
「っ…!」
「それに…涙くらいなら濡れるだけだ。汚れるわけじゃねぇ」
「っ、リヴァイ、さんっ…」
貴方は、ずるい人です。いつも厳しくて怖いくせに、こんな時だけやけに優しくしてくれるんですから。
でも、そんな貴方の優しさが、とても温かくて…心地いい。
私はできるだけ声を抑えて、大粒の涙を流した。厳しくて優しい命の恩人の腕の中で。