第2章 2咲目,入団
どのくらい話し込んだだろうか。突然団長の部屋のドアが開けられ、入ってきたのはリヴァイ兵長だった。
兵長は私がいると思わなかったのだろう。少しだけ驚いたような表情を見せた。
「お前、何をしてるんだ」
「あ、リヴァイ兵長!エルヴィン団長と本のお話をしていたんです」
「あぁ、とても有意義な時間だったよ。リヴァイ、何か用か?」
「……」
「リヴァイ兵長?どうかしたんですか?」
急に黙り込んでしまった兵長を見上げると、とっても不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。
「…追加の書類だ、エルヴィン」
「またか?勘弁してくれ…」
苦笑しながら書類を受け取るエルヴィン団長。
「あの、エルヴィン団長。私に何かお手伝い出来ることありますか?」
「ふむ…では、書類の整理をしてもらえるか?」
「はい!」
早速手伝おうとすると、リヴァイ兵長に手首を掴まれる。
「!…?リヴァイ兵長…?」
「…お前は部屋に戻れ。まだ兵士でもないやつがこんな遅くまで働く必要はない」
「え、で、でも…」
私がどうしようか迷っているうちに、リヴァイ兵長に引きずられるようにして団長の部屋から出されてしまった。団長にとっさにまた明日お手伝いしますと言ったものの、なんだか申し訳ない。
未だに私の手首を掴んで引っ張っていくリヴァイ兵長に声をかける。
「り、リヴァイ兵長…痛いです…」
「!あぁ…」
私が痛いと伝えると、やっと離してくれた。
「…どうしたんですか?リヴァイ兵長…」
「…二人の時はその呼び方じゃなくていいと言っただろう」
「あ…はい、リヴァイさん」
おかしな人…どっちで呼んでほしいんだろう…。
「どうしたんですか?急に…」
「…お前、こんな遅くに男の部屋に行くな」
「なんでですか?」
「襲われても文句言えねぇぞ」
「ありませんよ、そんなこと」
「…ならいいがな」
リヴァイさんは不機嫌そうなまま私を部屋に送ると去っていった。私はまた不思議な人だなと思いながら彼にお礼を言って見送った。