第2章 2咲目,入団
私はシャワーを浴び、部屋に戻る。その途中、エルヴィン団長に呼び止められた。
「エルヴィン団長?どうしたんですか?」
「この兵団には慣れたかな?」
優しく問いかけてくれるエルヴィン団長の声は好き。凄く安心する。私のお兄ちゃんに似てるんだ。
「はい。皆さんとても優しくて、まだ兵団に入ってもいないのに気にかけてくださって」
「そうか、それはよかった。私の部屋に来ないか?お茶でもご馳走しよう」
エルヴィン団長が優しく微笑み、断る理由もなく、私は彼の誘いに乗った。
部屋に入ると、机には山積みの書類がたくさんあった。
「わぁ…書類がたくさん…」
「はは、すまないね。こっちに座っていてくれ」
「あ、はい」
私はソファーに座り、団長の部屋を見渡す。どこも綺麗に整頓されており、私の大好きな作家の本も置いてあった。
あ…団長もこの人の本読んでるんだ…凄く面白いんだよなぁ…
そんなことを思っていると、団長がお茶を持ってきてくれた。
「どうしたんだ?そんなに本を見つめて。気に入った物があったか?」
「あ、いえ、エルヴィン団長、この作家さん好きなんですか?」
「あぁ、この人か。そうだな、気にいっているよ。この人のてがける本は奥深く、面白いからね」
「私も好きなんです、この作家さん」
私がにこやかに言うと、団長はほう…と興味ありげに反応した。
「君はこの作家のどんなところが好きだ?」
「そうですね…やっぱり、奥深いことを書かれていますし、人々の考えを根底から覆すような発想をするところでしょうか」
「おぉ…私と同じだな。あまりこの本の良さを理解してもらえることがなくてね、同じ意見に少しばかり感激してしまった」
「ふふ、ならもっと話しませんか?私も、この本のことを誰かと話したかったんです」
「あぁ、喜んで」
私と団長は本の話に夢中になった。1時間も2時間も、時を忘れて話していた。